UNICO Nova Blast Candy Cabについて(発売前情報)
UNICO社が発売予定のアーケード筐体
アメリカのUNICO社が2024年10月下旬に発売を開始したアーケード筐体です。当初は2024年4月に発売予定でしたが、ヘッドホン位置の変更、カスタムJAMMAボード、モニターコンバーターボード、ベースの改良を行うため発売を延期し、同年7月頃からの出荷予定となりました。その後欠陥が見つかったことでさらに発売が延期、10月下旬からようやく出荷が始まっています。
同社が過去に手掛けたMVSXとは違い、内蔵ゲーム無しなので単体では機能しません。JAMMA接続のアーケード基板か家庭用ゲーム機を別途用意する必要があります。
上下で分割できる仕様となっており、コントロールパネルから上のバートップ部分が約30kg、金庫やコインシューターを搭載するベース部分が約18kg、上下合わせて約48Kgと軽量です。アーケード筐体が欲しいけど、既存の筐体はサイズや重量の問題で配送搬入や設置が困難という人には刺さるかもしれません。
価格はバートップ部分が999ドル、ベースは299ドルで、上下セットのCOMBOだと割引価格の1199ドルとなります。予約開始時点ではアメリカ、ヨーロッパ、香港等の在住者のみが予約できるよう制限されていましたが、2024年4月現在、UNICO直販サイトから日本向けの配送予約も可能になっています。
この筐体について、以下の項目でもう少し詳しく紹介します。
ラインナップ
Nova Blast Candy Cabには、スピーカーとマーキーのデザインが異なる2種類のラインナップが用意されています。ここでは、バートップとベースをセットにしたCOMBOモデルを取り上げます。
U2- Nova Blast Candy Cab Combo
こちらは「U2」モデルです。スッキリとしたデザイン(?)で、正面を向いた小ぶりなスピーカーが筐体内に収まっています。マーキーは2箇所に分かれており、それぞれが点灯するようになっています。
2024年6月現在、UNICO公式の動画では最も目にするタイプの筐体です。海外のYouTuber、19kfox氏によるプロトタイプの組み立てレビュー動画*にてその姿が鮮明に確認できます。動画では両サイドにある「NOVA BLAST」ステッカーのデザインが変更されており、見た目が良くなっているのが嬉しいところ。マーキー部分もこれに合わせて変更されると嬉しいのですが…。
U4- Nova Blast Candy Cab Combo
「U4」モデルはスピーカーが少し大きく、筐体からやや内側を向いて飛び出しています。なんだか耳のように見えてきますね。マーキーはスピーカーの間を埋め尽くすようなデザインになっており、こちらも点灯する仕組みです。
個人的にはスッキリまとまっているように感じる「U2」のデザインのほうが好みです。なお、上記の動画によるとスピーカーとマーキーの含まれるユニットは着脱可能方式になっているので、このユニット部分のみの販売があれば、「U2」「U4」のデザインの変更を気軽に楽しめそうです。
UNICO直販サイトによると、日本向けの価格はどちらのモデルも179,999円(税抜)で、コントロールパネルやモニターといった装備はどちらのモデルも共通しています。
バートップとベースの接続については、おそらく複数のネジやナットで固定する方式と思われます。この部分に関しては詳細が明らかになっていないため、わかり次第追記する予定です。
プロトタイプの組み立てレビュー動画によると、アストロシティ筐体と比べるとコントロールパネルがせり出している長さが短い(ベース前面からコントロールパネル先端までの長さ)らしく、個人的にはそこが結構気になります。動画では実用上問題ないと軽く流されてはいましたが…。
バートップ
バートップのみ、つまり筐体上部だけの予約販売もされています。机やカウンターに置いて遊びたい人向けでしょうか。価格は、UNICO直販サイトによると159,400円(税抜)と割高です。「U2」「U4」の違いは先述しているため、ここでは「U2」の画像を使います。
U2- Nova Blast Candy Cab Bartop(前面)
コントロールパネルはアストロシティ互換の2レバー16ボタンタイプで、三和電子のレバーとボタンが使われています。その上にあるパネルにはボタン3つと音量調整ボリュームがあります。ボタン配置は、標準では左から1Pコインスイッチ、テストスイッチ、2Pコインスイッチに割り当てられているようです。音量調整ボリュームが便利そう。基板によって音量が違いますから、手元で操作できるのはありがたいですね。
コントロールパネルベースはヒンジで開くタイプではなく、ネジ等で固定するタイプです。レバーやボタンの交換をする際は、コントロールパネルのネジを外してパネル自身を外す必要があります。
また、コントロールパネルベース側面にヘッドホン端子が設けられています。正面から見て左側に1P用が、右側に2P用のヘッドホン端子が付いているようです。
ULM26 PRO(液晶モニター)
搭載されているモニターは、解像度1440×1080、画面比率4:3の26インチ液晶モニターです。接続端子はHDMI、VGA、5ピンCGA/EGAの3つで、15khz、24khz、31khzの映像信号に対応しているため、アップスキャンコンバーター不要でそのまま映ります。
左右にブラケットが付いており、バートップにネジ止めしてしっかりと固定する仕組みです。また、手動での回転が必要ですが、縦横どちらの向きにも対応しています。
2023年から単体で販売されている26インチモニターのPRO版という位置づけらしく、解像度の上昇や残像感の解消(多分)、色合い、明るさコントラストの調整が可能になりました。映像の拡大縮小や位置移動も可能になったので、ようやくまともに使えそうです。
モニターの回転は、モニターの前にあるガラスパネル(?)に付けられた4つのネジを外してパネルを除去、剥き出しになったモニターに付けられている左5、右5、合計10個のネジを外すことでモニターが外れるので、モニターの向きを変えて逆の手順で取り付ければいいとのことです。
詳しくは、以下のプロトタイプのモニター回転動画*をご覧ください。
U2- Nova Blast Candy Cab Bartop(背面)
背面には冷却ファンと排気口が2つ付いています。この冷却ファンの静音性がずっと気になっていたのですが、製品版では静かなファンになったとのことです。プロトタイプでは非常に煩いファンだったそうなので、これは嬉しい変更点と言えるでしょう。
排気口の下には鍵がついており、ここを開けると下の蓋がパカッと外れ、基板収納部分にアクセスできます。電源やJAMMAインターフェース、USBエンコーダー等が密集しており、基板を載せる分厚い木の板もあるので、大きな基板は入らないと思います。おそらくCPS2くらいのサイズでギリギリでしょう。MV-4は蓋が閉まらなさそう…。
内部には、ベースにケーブルを通す穴があります。ここからJAMMAハーネスやUBSケーブルを通し、ベースに収納した基板やゲーム機に接続できるとのこと。
右下の黒い部分は、電源ケーブルの接続部分と電源スイッチです。電源ケーブルを接続する関係上、壁付けはできないので奥行には余裕を持っておく必要がありそうです。
バートップの奥行は約64cmですから、70cmくらいは確保したほうがいいかもしれません。
ベース
バートップと接続するベースです。価格は、UNICO直販サイトによると47,800円(税別)と割高です。バートップと違ってベースはこの1種類のみのラインナップとなっています。
Unico Nova Blast Candy Cab Base
金属のボディに持ち手、コインシューター、金庫ボックス、4つの足とキャスターが付いています。上部に穴が空いており、バートップからのJAMMAハーネスやUSBケーブルを通せるようになっています。バートップとの接続用のネジ穴等もあるようです。
プロトタイプの組み立て動画では完全組み立て式となっており、その時は説明書がなかったせいか組み立てに苦労したとのこと。さすがに製品版では説明書が同梱されるでしょうし、構造の変化やネジ数の減少のおかげで組み立てやすくなっているはずです。
実は、UNICOが発売を延期してまで改良を施した部分であり、製品版の見た目や機能は異なるものになることが判明しています。プロトタイプでは普通の棚のように前面の扉がパカッと開くつくりでしたが、製品版では普通の筐体のような3ドア式(?)になります。
2024年6月24日、本製品のテスターを務めているNeoCverA氏による改良板ベースの画像がXに投稿*されました。事前にUNICOが発表していた通り、全体が開く構造が廃止されています。左半分に基板収納用の取り外せる扉(蓋)があり、コインシューターと金庫ボックスにも個別に扉が付き、それぞれに鍵を掛けられるようになりました。
また、内部の奥左右に排気口が1つずつ追加され、冷却ファンをネジ固定して取り付けられるようになりました。ベースの冷却ファンはオプションになるだろうという情報があった(気がする)ので、必要な人はPC用のファン等を個別に購入する必要があると思われます。
ベースで気になるのはコインシューター部分。プロトタイプの組み立て動画ではブラケットにドロップ式コインシューターを取り付けるつくりでしたが、100円玉が使えるコインシューターを取り付けられるのかが気になります。やはり100円玉を投入できるようにしたいですからね。
スツール
いわゆるゲーセン椅子です。なんと椅子の予約販売まで始まっています。しかし、価格はUNICO直販サイトによると2脚で39,800円(税抜)。高い。日本でもゲーセン椅子は新品で10,000円くらいで1脚買えますから、余程のこだわりが無い限りこれを買う必要はないでしょう。
Unico Nova Blast Candy Cab Stools
アストロシティ系筐体に使われている椅子と同じ高さ(約43cm)の椅子と思われます。カラーバリエーションは黒のみです。日本で新品で買えるゲーセン椅子はカラーバリエーションも豊富ですし、1人用から2人用、背もたれの有無、座面の質感等も選べます。日本在住者はスツールをわざわざUNICOで買う必要はないと思います。
梱包について
バートップとベースがセットになった「Nova Blast Candy Cab Combo」を購入すると、ダンボール2箱にそれぞれ梱包された状態で発送されるようです。筐体全体を梱包材で包んでそのまま送られたりはしないのでご安心を。本製品のテスターを務めるNeoCverA氏による製品版(あるいはそれに近い状態)の変更点や梱包を紹介した動画*がYouTubeにアップされていますので、詳しくはそちらをご確認ください。
動画を見た感じ、思ったよりスリムなダンボールに収まったなという印象を受けます。とはいえ、バートップの梱包に関しては、これでも玄関をギリギリ通らないくらいのサイズ感だとは思うので、実際は中身だけを取り出して自宅に搬入することになりそうです。遥々海外からやってきた、何が付いているかもわからないダンボールをそのまま自宅に招き入れるのも怖いですし、ちょうどよかった(?)のかもしれません。
機能・特徴
- 解像度1440×1080、画面比率4:3、15khzに対応した26インチ液晶モニターを搭載
- モニターの縦横変更に対応(手動で回転が必要)
- マーキーデザインとスピーカーが異なる同価格2モデルをラインナップ
- バートップ、ベース共に金属製で堅牢なつくり
- 2レバー16ボタンのアストロシティ互換コントロールパネルを採用
- コントロールパネルには三和電子のレバーとボタンを採用
- 電源やスピーカーも内蔵しているので、アーケード基板さえあればすぐに遊べる
- USBエンコーダーを搭載しており、一部の家庭用ゲーム機を接続して筐体で遊べる
- サービスコンセントを1つ搭載
- ヘッドホン端子や音量調整つまみを搭載
- バートップ背部にJAMMAハーネスがあるので、収納した基板をワンタッチで接続できる
- キックハーネスに標準対応
- バートップ背部だけでなく、ベースにも基板を収納できる
- モニターとコントロールパネルの間にボタンが3つ配置されている(テストスイッチ、コインスイッチ、サービススイッチ、MVS用セレクトボタン等を配置すれば便利そう)
- ベースにコインシューターが取り付けられる
- ベースに鍵付き金庫ボックスが標準装備
- ベースの鍵付き収納部分に、バートップからのJAMMA延長ケーブルが通せる(らしい)
- バートップ背部に対戦台構築用の穴があり、そこからキャプチャー用配線を外に出せる(はず)
- 上下合わせて約48Kgと重量が軽く、一般的な100Kgを超える筐体の半分以下
- 幅が約66cm、奥行が約64cmと手頃なサイズ感
気になる点
- モニター性能が不安(欠陥品のフェニックスモニターを改良したPro版らしいが果たして)
- マーキーの点灯が明るすぎる気がする(明るさ調整、あるいはオフにできれば便利そう)
- JVSには非対応(別途コンバーター等を用意する必要がある)
- コントロールパネルが2P仕様(個人的には1P仕様がよかった)
- コインシューターは日本の物が使えるかどうか
- コインシューターの位置が右膝下(天板にあれば硬貨投入がしやすいのだが)
- 追加ボタン3つの機能を簡単に変更可能かどうか(JAMMAから引っ張る必要がありそう)
- インストラクションカードを掲示するパネルがない
なぜか拡張用D-SUB15ピン端子を筐体正面に配置(案の定、改善要望が多数届いている模様)
※2024年3月末にUNICOがD-SUB15ピンを削除するかどうかのアンケートを行なった結果、D-SUB15ピンが削除、ヘッドホン端子はコントロールパネル側面に移設されることが決定されました
発売計画があるアクセサリー
- 1P用コントロールパネル(2024年後半)
- D-SUB15ピンのコントローラー接続キット(2024年後半)
使い勝手は良さそう
重量、サイズ感共に手頃で搬入や設置に困らないのが大きなメリットでしょうか。ヘッドホン端子や音量調整ボリュームを搭載しているだけでなく、コントロールパネル付近にボタンが3つあるため、筐体を加工することなくテストスイッチ、コインスイッチ等を手元に配置できるというのも嬉しいところです。
良いところばかりではなく、個人的には気になるところも。2レバー16ボタンのコントロールパネルのみで、1P用のコントロールパネルという選択肢がありません。加えて右上がりのボタン配置も気になります。せめてアストロシティのようなボタン配置であればこのまま使っていたと思うのですが。製品版で改善されているといいなあ。
幸い、コントロールパネルはアストロシティ互換なので、自分で好きなものに変更することでこの問題を回避できます。ボタン配置が普通の1P用コントロールパネルを持っているので、これに換装することになりそうです。
また、筐体内にUSBケーブルがあり、これを家庭用ゲーム機と接続することで、筐体のモニターに映像を映し出しつつコントロールパネルで操作することができる*ようです。UNICOのFacebookでは、Analogue PocketやNintendo Switchを接続して遊んでいる動画がアップされていました。アーケードアーカイブスやアケアカNEOGEOのゲームを筐体で遊べるのはアツいですね。
*電源を筐体のサービスコンセント等から取り、映像はHDMIでモニターに接続する必要があります
なお、接続できる家庭用ゲーム機は、コントローラーをUSB接続できるものに限られるようで、ネオジオのようなレトロハードには対応しないものと思われます。ネオジオロム本体がそのまま繋がればいいなあと思っていましたが、アプローチを変える必要がありそうです。
価格の高さがネック
問題は、とにかく価格が高いことです。公式直販サイトでは上下セットで179,999円となっており、消費税と送料を含めると約220,000円です。ここまで出すなら状態のいいJAMMA筐体が買えるでしょうし、ビュウリックス筐体の最上位(?)モデル「ビュウリックス ダイヤ ブラック」にも手が出る価格です。
配送手段が確保でき、ブラウン管筐体の面倒が見れる人、設置場所に困っていない人、搬入手段に問題ない人、JVS基板のみを動かせればよく、そもそもJAMMA基板で遊ぶ予定がない人などは、今回の筐体は購入の選択肢に入らないことでしょう。
逆に、管理人のように筐体を置くスペースが限られており、ブラウン管筐体には興味がなく、既存の筐体では引取や搬入に不安がある…それでも筐体を自宅に設置したいんだという、極々一部の層にはピタリとハマる筐体と言えるかもしれません。…価格以外は。
2024年6月現在、人柱覚悟で思い切ってUNICO直販サイトから注文してしまいました。届き次第、組み立てや簡単なモニター性能、使い勝手等について情報を発信していく予定です。
2024年11月12日追記
SNSで情報を追っていたところ、2024年11月現在、日本から「Nova Blast Candy Cab Combo」を注文しようとすると、送料が88,000円も掛かるということが判明しました。
実際にカートに入れてみると、総額は294,799円。以前より70,000円以上も高い…。何故か商品ページの情報も差し戻されているし、UNICO側のミスではないかという気もしますが果たして。
ミスではなく正常な価格だとしたら、もう殆どの人が買う気をなくすんじゃないでしょうか。今後発売されるexA-ArcadiaのARC-32筐体なんかを狙ったほうがよさそうです。
なお、カスタマーサポートによると、既に注文済みの人が追加で送料を請求されることはないとのこと。え、じゃあこの送料で合っているの…!?
どの道、今から注文しても届くのは来年になりますし、様子見が無難です。
参考サイト
- UNICO公式製品ページ
- UNICOのFacebookアカウント
- Unico Nova Blast Review - Is It Worth It?(19kfox氏によるプロトタイプの組み立て動画)
ページ情報
- 公開日:2023年11月06日
- 更新日:2024年11月12日